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Misson for Life Island clinic minimally invasive surgery center. since 2003 
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LADG90

MISSION

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strategy
今回のミッションは90歳女性で胃の出口付近に見つかったガンのオペである。手術後の合併症を皆無で遂行せよ。ただし決して手抜きをしてはいけない。・・言うまでもないが何が起ころうと当局は一切関知しない・・それでは成功を祈る。

STRATEGY

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90歳とは思えないほどしっかりした元気なおばあさんである。胃カメラよりガンは早期ガンであると考えられるが組織学的に低分化ガンであり陥凹している。すでに近くのリンパ節に転移している可能性も否定し得ず胃カメラによる摘出はもはや適応はない。オペのリスクが高いが高齢という理由でオペを回避することはできない。腫瘍は胃の出口付近に発生しており数ヶ月後には完全にふさがってしまうだろう。となるとこのケースにふさわしいオペはLADG(腹腔鏡補助下幽門側胃切除術)ということになる。とにかく手術を短時間でてきぱき終わらせるためにリンパ節郭清はD1(1郡)までとする。オペ時間のトータルは2時間30分以内を目標とする。当然輸血を要するほどの出血をさせてはいけない。

DOCUMENT

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fgs胃カメラで見つかった胃の出口付近の 胃がん(発赤のあるところ)全身麻酔下に腹部にポートを5カ所おいた。オペは8mmHgの気腹下に行った。幸い体内脂肪は少なく血管系の解剖が容易に理解できる。腹腔内の癒着もほとんどない。ハーモニックスカルペルで大網を切離していく。血管をしばることなく切離し止血する夢のようなナイフである。驚くほど高価であるが体内での結紮はほとんど不要であるメリットを考えると納得である。大網の切離も終了し右胃大網動静脈を処理した。型通 り右胃動脈も処理した。オペ時間短縮のため左胃動脈は比較的末梢で処理した。最後に上腹部に5cmの小開腹をおいて胃の末梢を切除し、残胃と十二指腸を自動吻合器で吻合した。止血を確認し手術を終了。ドレーンは入れなかった。手術時間は2時間15分であった。

術後経過はきわめて良好であった。手術翌日の昼にはもう自力で歩行しVサインをする程であった。驚異と感動を覚えた。この術式LADGはやはり素晴らしいと再認識させられた。手術後3日目に排ガスがあり同日飲水を開始、4日目に食事を開始した。その後も問題なく回復、術後10日目には十分退院可能であったが家族の受け入れ態勢の事情で手術から12日でめでたく退院となった。病理学的に低分化腺癌であり深達度はsm1,リンパ節転移はなかった。適切な手術がなされたと判断された。

specimen切除した胃。中央の凹んだ部分が癌

COMMENT

COMMENT

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walk手術翌日に歩行Vサインをする。 家族もスタッフも大喜びであった今回のミッションは少し不安があった。90歳の超高齢者に最適な治療は何だろうか?ガンは切除したが手術後に寝たきりになったのでは何のために手術をしたのかわからなくなってしまう。われわれスタッフはもとより手術を選択した家族や、われわれを信頼し治療を委ねた消化器内科の先生も悔いを残す結果 となってはならない。これまで比較的リスクの高いとかんがえられる80歳以上の患者さん3人、脳梗塞後ほぼ寝たきりの患者さん2人に同様の手術をした。驚く程経過がよくこの手術は素晴らしいと感じていたが今回の経験でますます確信が深まった。この手術の完成度をもっと高めそして世の中に広めていかなくてはならないと。scar手術後のキズのようす 上腹部の5cmのキズがある

(2002年)

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