ミッション
Mission for Life
ミッションとは
世界では手術に伴う"きず"や痛みを限りなく小さくしようという大きな流れがあります。小さなカメラを体の中に入れて行う内視鏡手術は1985年ドイツのMuhe(ミューエ)、1987年フランスのMoret(ムレ)による腹腔鏡下胆嚢摘出術(ふくくうきょうかたんのうてきしゅつじゅつ)が始まりだといわれています。 きずが小さく、痛みが少ない近代外科史上もっとも革命的なこの手術は1990年に入ってから胆のう手術を中心に爆発的に世界中に広まりました。体に大きな切開を入れることによる強い痛みと醜いきずあと(瘢痕:はんこん)を伴うことは手術治療の宿命ででした。しかし内視鏡手術の出現でそれまで20cm以上を要していた切開が1cm程度へと飛躍的に縮小されました。醜いきずあとや耐え難い痛みの軽減は手術を受ける患者さんにとっての大きな福音でした。その後胆のうや虫垂だけでなくありとあらゆる臓器にその技術が適応され、胃がん、大腸がん、肺がんといった悪性疾患にも行われるようになってきました。痛みが少ない、きずが小さいだけでなく肉眼を遥かにこえるカメラの視力による手術精度の向上や内視鏡手術のおかげで超音波手術装置などの手術機器は急速に発展しました。生を受けてから20年あまりが経過した現在、内視鏡手術はもはや新しい手術ではありません。しかし、まだまだ発展途上であり多くの問題点も抱えていますし従来の開腹・開胸手術を置き換えるほど広く普及しているわけでもありません。この内視鏡を用いた体にやさしい低侵襲(ていしんしゅう)手術(=minimally invasive surgery)を安全に発展・普及させたいという願いでミッション・MISSION(Minimally Invasive Surgery of Strategic Innovation)を立ち上げました。手術のきずを限りなく小さくし、安全性・完成度を高め、そしてその素晴らしい手術を広く普及させていくことが先端内視鏡手術研究所のMISSION(使命)です。.
MISSION ミッション われわれの使命 |
|
||
ミッション・・新たなる挑戦 new mission beyond the MISSION
このサイトを開設したのは2003年2月ですから10年になろうとしています。この間にも腹腔鏡手術は劇的な発展を遂げて当時とは比較にならないほどのクオリティーの高い手術が多く行われてくるようになりました。”キズの小さな痛みの少ない手術”から精緻で治療効果のより高い標準的な手術に成長しつつあります。また腹部や胸部の皮膚を全く切らないNOTES(ノーツ)というさらに高い次元をめざした新しい内視鏡手術が出現したりもしました。しかし、解決すべき問題の多さと患者さんの得られるメリットが必ずしも明確でないこともあり腹腔鏡下胆嚢摘出術のようには急速に普及するにはいたっておりません。そしてひとつの小さなきず(一般的にはおへその中)で腹腔鏡手術を行う『単孔式腹腔鏡手術』日本での愛称は『TANKO』が急速に発展しました。また、同時に腹腔鏡手術に使用する器具を極限まで細くすることによって「きず」の痛みや瘢痕を最小限にするという「Needlescopic Surgery」も再度脚光を浴びてきました。傷を一つにするのか、はたまた、細くするのとどちらがいいのか・・研究は続いています。現時点の考えはどちらにも長所がありそれを適切に組み合わせることが患者さんにとってメリットがあるとされその哲学の融合である「Redeced Port Sugery」という概念が出てさらなる次元を探求しています。またDa Vinciなどのロボット手術は泌尿器科手術の一部で保険適応となり消化器外科においても一部の施設で先進医療となり今後の保険収載が期待されています。また、腹腔鏡手術の技術向上と安全性のおかげで内視鏡手術の恩恵を最大限に享受できる肥満手術は世界中で急激に増加しています。こうしてみると腹腔鏡手術まだまだ発展する余地はありますしそれが健全に発展していくのを見守る必要性があります。内視鏡手術が導入されてから20年以上が経過し特殊でない一般的な手術に成熟してきたためこのサイトの役目はほとんど終わったと思っていましたので休止状態にしておりましたが未だにこの手術の恩恵を受けられない患者さんが多いと聞きます。そのため、内視鏡手術を必要としている患者さん、そして医療者にも微力ながら必要な情報発信を続けていきたいと思います。(2015年1月)
ミッション主宰, 稲嶺 進 内視鏡外科医、減量外科医.
ひとの手は少しだけあたたかい BAND-AID®Johnson&Johnson