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Misson for Life Island clinic minimally invasive surgery center. since 2003 
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malignant lymphoma

MISSION

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今回諸君に課せられたミッションはこうだ・・
40代女性の腸閉塞である。以前に帝王切開で下腹部に15cmの切開、胆石症で右上腹部に斜めの20cmの切開創がある。現在悪性リンパ腫で化学療法を行っている。今回原因不明の腸閉塞になっている。このケースに5cm 以下の切開で腸閉塞を解除してもらいたい ・・わかっているとは思うが何が起ころうとも当局は一切関知しないので・・・、それでは成功を祈る

STRATEGY

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今回は腸閉塞である。これまで2回の開腹手術を受けている・・・となれば”癒着性の腸閉塞”をまず疑う。今回CT等の画像診断では閉塞部位 は小腸であること以外は情報は得られなかった。手術以外の方法も試みられたが成功しなかった。気になるのは現在悪性リンパ腫で化学療法、いわゆる抗ガン剤の治療を受けている途中である。最も可能性が高いのは腹腔内の癒着による腸閉塞であるが、腹腔内、つまりおなかの中の腫瘍等による閉塞の可能性も否定し得ない。このケースではまず閉塞部位 と閉塞機転を知るために腹腔鏡を挿入し、その後の戦略を術中に決定することにした。

DOCUMENT

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bandおなかの中にカメラを入れて観察したところ。1本のバンドが腸閉塞部へ伸びている。血液内科の先生から腸閉塞の患者さんがいるので診てほしいとの依頼があった。悪性リンパ腫で化学療法を施行中であるが嘔気・嘔吐が激しく持続するのでおなかのレントゲンを撮ったところ腸閉塞のサインがあるとのことである。確かに単純レントゲン写 真では典型的な腸閉塞である。しかし、原因はなんであろうか?CTも撮影したが小腸で閉塞していることはわかったが原因を特定するには至らなかった。症状、血液検査、その他より緊急手術を要する腸閉塞ではないと判断し、絶食・点滴、鼻から胃に通 した管による治療をする方針とした。その治療ですぐに腸閉塞は改善した。しかし、食事を再開するとすぐに嘔吐した。そのため手術を選択することにした。最も疑われるのは過去2回の開腹手術に起因する癒着性の腸閉塞である。キズは上腹部と下腹部に離れて存在する。そのためどちらが今回の犯人か?を見極めなければならない。いきなり開腹手術を選択するとどこから開腹したらいいのか悩んでしまう。それで今回もやはり1cmの切開で腹腔鏡をおなかの中に挿入し、その観察後に開腹する部位 を決定することにした。もちろん開腹せずに済むのであればそのまま腹腔鏡のみで終わらせるつもりで手術に入った。

全身麻酔下に手術を行った。臍上に1cmの切開をおいて腹腔鏡を挿入する。予想通 り右上腹部と下腹部正中に癒着を認める。小腸を丁寧に観察すると閉塞しているのはどうも右上腹部の胆石の手術に関係のある部位 と思われた。1本の太いバンドが右上腹部から小腸に伸びており、そのバンドのせいで腸がねじれて閉塞していると思われた。バンドを超音波凝固切開装置にて切除し再度閉塞部の小腸を観察した。するtumoroバンドを切り離したところ。そこには小腸の腫瘍が見つかった。正面の白いところが小腸。とその部位 の腸がかなりかたくなっており小腸腫瘍の存在を予想させる所見であった。病変はそこだけであると判断されたのでその直上で5cmの小さな切開をおいて開腹した。腫瘍を含む小腸を直視下に部分切除を行った。術後経過はもちろん良好であり特に問題はなかった。キズが小さいため、これまでで最も術後が楽でしたと、患者様本人も喜んでおられました。



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malignant lymphoma切り取った小腸。中央部分が腫瘍。最終的に悪性リンパ腫であった。腸閉塞、これは腹部の救急でよく遭遇する疾患である。しかしその原因や緊急性の程度も様々である。今回のケースは腹部の手術の既往が2回あったので、最も疑われたのは開腹手術に関係する”癒着性の腸閉塞”であった。重症感がなく絶食にし胃液を吸引することで1日で腹痛や、嘔吐が消失したため水分、そして食事を再開したら再び腹痛、嘔吐がおこった。やはり手術を選択せざるをえない状況になった。腸閉塞の手術は一言で言えば中身の通 らなくなった腸管を何らかの方法で腸の内容物が通るようにすればいいことになる。腸が曲がっているだけなら伸ばせば良く、紐のようなもので締め付けられたり、捻られていたりしたら紐を切除し、腸が小さな穴にはまりこんでいたらそこから抜き、腸に腫瘍があればそこを切り取る。いずれにしてもおなかの中に入ってみなければそのいずれの状態になっているのかを判定することは困難である。腹部を最初に切開する場所も容易にはきめられない。前回の切開創の裏側には必ずと言っていいほど内臓の癒着があるのでうっかり同じ部位 で開腹すると腸管などを傷つけてしまう可能性がある。だから腸閉塞の手術は一般 的に前回の手術でメスの入っていないところから開腹する。だから手術に必要な腹部の切開創は必然的に大きくなる傾向がある。

今回のケースでは1cmの切開で腹腔鏡を挿入することによって腸閉塞の部位 と原因を比較的容易に突き止められた。そのために必要最小限の切開で手術を完遂することができた。完全に内視鏡下で手術を完遂operative scar手術後の腹部のきず。右側腹部に5cmのきずあとがあります。することをしなくても、今回のようにどこを切開すればいいのかを決定するだけでもかなり体に優しい手術になる。つまり体に不必要な侵襲、つまりストレスをかなり減らすことができる。内視鏡手術はこのような小腸腫瘍の手術においてもやはり有用であった。


(2002年)

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