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The most challenging operation

腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術Roux en Y gastric bypass for mobid obesity

2003年11月25日、群馬県太田市を訪ねた。病的肥満に対する完全腹腔鏡下手術を見学させてもらうためである。堀江病院の笠間和典先生(注:笠間先生は2006年より四谷メディカルキューブへ転勤されました。詳細は減量手術.comを参照してください)は日本で唯一完全腹腔鏡下にこの難易度の高い手術をこなすというとんでもない内視鏡外科医である。欧米諸国や南米ではかなりポピュラーな手術になりつつあるが日本ではまだまだ市民権を獲得していない。この究極の腹腔鏡手術を間近で見る機会に恵まれたので簡単にレポートしたい。
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horie hospital堀江病院の玄関前で日本人には3つの大きなコンプレックスがある。英会話、パソコン、そしてダイエットである。この3つは多くの人が挑みそしてその大多数が挫折したことであろう。パソコンはインターネットの普及で徐々に生活の中に浸透してきているものの英会話とダイエットは永遠のテーマかもしれない。特にダイエットは雑誌やテレビ番組で頻回に取り上げられ、新しい方法が次々と話題になっては消えていく・・・肥満を克服するのがいかに困難であるのかを物語っている。しかし今回の肥満に対する外科手術は美容が目的ではない。美容形成外科等で行われている脂肪吸引等とは目的も方法も全く異なった方法なのである。肥満といっても”最近ちょっとふとったかしら?”程度ではない。”病的肥満”英語ではMobid obesityといって生命を脅かす程の肥満である。重度の糖尿病や高血圧、睡眠時無呼吸症候群その他諸々の生命に直結する疾患をを合併することが多い。最近の欧米の学術雑誌やインターネット上をその腹腔鏡治療についての話題がかなり頻繁に飛び交うようになってきた。極度の肥満である病的肥満に対して食事療法をはじめとするいわゆる内科治療は多くの場合成功しない。それに対しいろいろな外科治療、つまり手術で病的肥満を克服しようとする方法はいくつかあり、その良好な成績が多く報告されるようになってきた。肥満大国アメリカでは 2003には年間10万kasama ,Tagaya,Suzuki手術に集中している笠間先生(左端)、鈴木先生(中央)、多賀谷先生(向こう向)人以上が腹腔鏡下に肥満に対する手術が行われるといわれている。最近話題になっているのは腹腔鏡下に食物の通 り道をバイパスするGastric Bypassと胃にバンドを適切な強さで巻き付けて食べられる量 を調節するAdjustable Gastric Bandである。そのどちらも腹部を大きく切開することなく5mmから1cm程度の切開を数カ所おくだけの患者さんの体にやさしい手術である。しかし外科医にとってはやさしいどころか、かなり難易度が高い手術である。特に前者のガストリック・バイパスは腹腔鏡手術の中でもっとも困難な手技である胃や腸を縫い合わせる技術が必要である。しかも多くの患者さんが体重が百数十キロ以上であり、おなかの中の脂肪の海とのつらい戦いを強いられる。この困難な手術に悠然と挑んでいるのが今回のヒーロー”はぐれ外科医内視鏡派”笠間 和典 先生(以下KAZ)である。日本でこの手術を腹部を大きく切開port site手術は完全腹腔鏡下で行われ腹部を大きく切開することはない。キズは1cmが3カ所と5mmが1カ所のみである。することなく完全に腹腔鏡下でこなすのはKAZだけである。金沢でのエルクのトレーニングコースで知り合い、この困難な手術手技を是非見学させてほしいとお願いしたところ了承していただいて今回の群馬訪問が実現した。
全身麻酔がかかり諸々のセットアップが完了し手術は開始された。いつもは上の写 真でもわかるように少したれ目でとても優しい目をしているのだが、オペが始まるやKAZの目は獲物を狙うPantherのように、文字通 り豹変した。慣れた手つきで小腸をたぐり、どんどんオペは進行していく。厚い腹壁とおなかの中の多くの脂肪がその行く手を阻むが、怯むことなくKAZの鉗子は動き、決して静止することはない。小腸を何のためらいもなく離断し、そして再吻合する。自動吻合器で一部オートマチックに吻合したのち、開いた穴を手縫いの吻合で閉じた。次に小さな胃袋を作成する操作に移った。かなりおなかの大きな患者さんでこれがまた大変だったがこれも難なくクリアした。そしてその次が圧巻だった。作成した”小さな胃袋”と小腸をオートマチックの器械を一切使用することなく、”完全な手縫い”での吻合を完遂したのだ・・吻合口の大きさは妥協することなく正確に直径12mmというところに第一人者としてのプライドと、このオペに対するこだわり・愛情が感じられた。最後に胃カメラを施行し小さな胃袋と小腸が正確に縫い合わされているのかのテストを行った。上の写 真の胃カメラにあるように出来上がりはやはり完璧であった。

KAZと話していると、この病的肥満に対する腹腔鏡下手術:LRYGBにする熱い思いが伝わってくる・・向上心も。もちろん手術手技だけでなく患者さんへの愛情が深いことや肥満を取り巻いている諸々の問題についても造詣が深いことにも感動させられた。KAZはMISSIONのマークにもなっている外科医に必要な3つのH,Warm Heart,Skilled Hand,Cool Headを持ち合わせている数少ない本物の外科医であった。同じ”はぐれ外科医内視鏡派”としてKAZの姿勢には本当に学ぶことが多かった。
沖縄から飛行機と電車を乗り継いで片道トータル5時間、2泊3日の旅で12月の生活費を使い果 たしてしまった(出張ではなく完全自腹(T_T))が僕の人生の中で忘れられないエピソードのひとつになるに違いない.KAZが病的肥満に関するホームページを近いうちにインターネット上に公開するはずなのでその時はぜひ訪れてみて下さい(ミッションでもお知らせします)。(2003年11月26日)kazu soo photo笠間先生(右)より稲嶺が態度がでかいのはなぜ?
GJanastomosis小さな胃のパウチと小腸を吻合した直後の胃カメラ。写真下の丸い穴が今回吻合した部位。吻合は完璧だった。



笠間和典 Kazunori Kasama MD,FACS

笠間和典先生は群馬県太田市の堀江病院から東京の『四谷メディカルキューブ』へ移動しました。現在減量外科部長として病的肥満に対する数種類の手術を行っています。日本では高度肥満の患者さんが少ないため減量手術(肥満手術)の存在はあまり知られていませんが海外では多くの手術が行われています。笠間先生の技術は世界が認めており海外からの手術依頼も数多くこなされています。また、笠間先生の考案した減量手術であるSleeve Bypassは現在糖尿病を治すことが期待されている代謝手術において本命となる可能性がありこれもその世界では大変注目されています。腹腔内で針と糸を使って縫合するテクニックは間違いなく日本においては他者の追随をゆるさないと思います。自動縫合器でオートマチックにオペが行われる時代に針と糸で勝負する無骨なサムライ外科医といえるでしょう。
出典: 天才内視鏡外科医の群像 稲嶺進著

genius2人の天才 Kelvin+Kazunori